× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 珍しく、自分でそんな事を言って、聞いたのは “夜月”としては、初めてだった。 「あのね兄様。」 「なぁに、夜のお姫様。」 「もう!からかわないで!」 「はいはい。で、なあに?」 「あのね、最近月とか夜じゃなくて、薔薇が良いと思ったの。」 「如何して?」 「んと…蝶に月は、似合わない、でしょ?それに…段々、自分が月じゃないような気も、するの。」 「ふうん。別にいいんじゃない?薔薇の姫君。どっかの童話に出てくるお姫様みたい。」 「別にそんなことを言ってるんじゃないの。ただ、ね…、彼に、合わせたくなっただけ、なの…。」 「…何かあったの?」 「別にそんなんじゃない、けど…。ただ、合わせたいなぁ、って…。」 「どっちにしろ綺麗だから似合うと思うよ?俺はどっちでもいい。」 「ちょ、兄様酷い…!むー…真剣、なのに。」 「ま、聞いてみればいいんじゃない?相手に聞くのが一番。どんなものかわかるんじゃないかなーと。」 「…そうかな。」 「俺はそう思う。」 「…そっかー。」 「おう。」 そんな、夏のある日。蝉の声を、初めて聞いたような日。 PR この記事にコメントする
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