× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「重いよ、おりたん」 みしりと乗りかかる体重は別に大した重さではないけど、上に乗られるのは不愉快だ。 右手に凶器を持つ彼の顔は泣きたくても泣かないように踏ん張る子供の笑った顔。 はあ、と溜息を零せど何も変わりはしない。 昔から麻多の子供が情緒不安定なのはこれが決められた事なのか。 「ねえったら」 洋服を右手の凶器でざっくり。 この服、気に入ってたのになあ。 「痛いのか?」 「何が」 「傷」 そうやってなぞられる傷は昔母親や君が悪いと言われ苛められてた時につけられた傷。 今もずっと残っているのは、自分でも傷を抉るからだ。 痛いのは、嫌じゃない。むしろ、痛くないと、生きているという心地がしないのだ。 今自分が立っている位置がどこにあるのか、どこを向いているのか、どこにあるのか。 抉っても抉っても出てくるのは自分の中にある血液と、どす黒い感情。 しかし自傷行為をしても、ただ虚しいのはよくわかってるけどだからと言ってやめるつもりは全くない。 それを解っているのか家族は何も言わないし何も気にはしない。 そういう人間だってことが、この家では正常だからだ。 「別に、おりたんに関係ないでしょ」 重いんだから、どいてよと言おうとした時には首元には凶器。 嗚呼、どうして厄介なもんを持ち出したかなこの子は。 「じゃあ、俺が傷つけてもいいんだよな?」 自分で自分を傷つけるんだったら、代わりないよな? 何を言い出すかこの子は。 俺はただ、この世界がどうしようもなく大嫌いで仕方がない。 だから。 でも。 生きろ、という人がいるから仕方なく生きてるようなもんで。 できるなら俺は早く死にたいんだ。あの人の所にいきたい。 「同じなはずなのにどうして、お前には体の傷がいっぱいで心の傷がないんだ?」 「…」 「どこが、違うって言うんだ」 殺すなら、早く殺しなよ。 『何処が、違うんだろう?』 いたい、いたい、いたい。 PR この記事にコメントする
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