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※アンオフィシャル要素含めた内容となります。
閲覧後の苦情等は受け付けておりません。ご注意を。 乾いた音が部屋中に響いた。 その瞬間、あたしは目の前に居る父親である男性にたたかれたんだと確信した。 あまりの出来事にびっくりしただとか、崩れ落ちたとかそういうことは一切無かった。 あたしが一番びっくりしたのは、 この人が生まれて初めてあたしに手を挙げ、怒ってきたということだった。 この人は、あたしに向かってちゃんと怒ることがあったんだ。 「何故死に急ごうとした」 「…死に急ごうだなんて、してない」 「お前は、自分の立場をわかっているのか依」 「わかって、ない」 わかってないよ。 何さ自分の立場って。 麻多の頭首?モデルの依?ダンサーの依?歌手の依?そんなもんわかんないよ。 「父さんにとって、あたしは、何」 「…大事な、子供だ」 「跡継ぎじゃなくて?」 「跡継ぎには、お前じゃなくて依月か夜月にやらせる。依夜もお前も、やはり女はだめだ」 おんなはだめだ。 それをお前が言うか。おんなをだめにした、お前が。お前が。 「貴方が女を駄目にしたのでしょう。母さんを壊し、夜月の母を殺し、伊檻を生ませた。貴方のその女好きが災いさせたのでしょう」 「依、」 「貴方が!この家を駄目にしたのでしょう!!それだから叔父さん達だって!」 「黙れ!このバケモノ!!!」 そうさ。あたしはバケモノ。 でもそのバケモノを生んだのは、アンタだ。 「お前はもう好きにすればいい」 「あたしの人生だ。あたしはあたしの好きなように今までしてきた」 そうさ。 足の裏に刺青を入れられた時だって。男と喧嘩した時だって。自分の生まれを知った時だって。 「だから、あたしが死んだっていいじゃないか。もう、いい。もう、振り回されたくない」 「依、お前」 「あたしは、血に狂って、血に埋もれて、血に抱かれるように死にたい」 もう、疲れたんだ。 「あたしはもう、殺したくない。ヒトも、依も、依月も」 「あたしの体は、もう長く持たないんだよ父さん」 バケモノの血がバケモノに変える。 でもその度に弱くなっていく力が怖いわけじゃない。 「あたしを作ってくれて、ありがとう」 それはとある兄弟の殺人衝動。 過去に祖先が残したバケモノの血を混ぜた結果あたしと依月は生まれて。 バラバラに砕いたはずなのに。それでも生まれてしまったあたしと依月。 そうだな。 死ぬなら、戦いの中で死にたいな。 その方が、バケモノらしいでしょ? PR この記事にコメントする
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