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TW2の麻多さん家の日記帳だったもの。 TW4の目黒さんとか麻多ちゃんとか花楯くんのあれこれ。
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「ひさしぶり」

そう数年前に聞いた声と変わらず聞こえてきた声は大人さを帯びて聞こえた。
梅雨独特の湿気が肌と髪を繋ぐ

「そっち来たから、お茶でもしよう?」

電話越しに言われた言葉に

「抹茶ラテがある所なら」

と返すのである。



数分後、指定された場所へと待っていたのは銀誓館学園転入前の学校のクラスの委員長が待っていた。

「さすが無茶振りの麻多。こっちに来て早々貴方に困らせられるだなんて思ってもいなかったわ」
抹茶ラテだなんてファミレスくらいしか安い所ないじゃない、と呟いた。
「…何であんたこっちに来たの?」
無愛想に言えばふふり、と彼女は笑って眼鏡を光らせたかのように見えた。

「こっちの学校、受けようかなって」

そう黙って抹茶ラテを飲んで言葉を返せば彼女は不機嫌そうな顔になった。
本当、表情がよく変わるのは昔から変わってないと思ったら自分がそうさせているだけであった。
「…ふうん」
「興味無い…って貴方は昔から他人に興味無いわよね」
「うん、俺の世界には自分かそれ以外しかないの」
「案外世界は面白いのに、貴方が教えてくれたように」
「あんまり首突っ込んで死んでも俺は知らないからね」
「本当貴方は優しいわ」
厳しいこと言っても真意は優しいのね、と彼女は呟いた。
そんなつもりないんだけどなあ。

「俺は逆に、委員長の方が優しい気がする」
「それはあの時貴方がそんな人だなんて知らなかったからよ」
「怖い物知らずというか、馬鹿なのかと思ってたよ」
「あら、それは酷くない?本当に知らなかったんだもの」
「それはそれで面白かったからいいけど」

飲みきった抹茶ラテをもう一度飲みに席を立って取りに行く。
彼女も飲みきった飲み物の代わりに紅茶を次いでいた。
席についても彼女は紅茶を蒸らしていた。

「なんでこっちの学校来る訳?そっちだって一応近い所あるでしょ」
古くて危ないけど、と言っても彼女は笑顔のままだった。
笑顔、というよりかは自信に満ちた笑みだった。
「本当はね、あっちの学校に行くはずだったの。でもね、私が高校入学する時に家買うことになってね。こっちの方がいいかなって。今はあっちの学校通ってるんだけど、引っ越したらこっちの学校に転校するつもり。どうせ同じ地域なら場所はそんなに変わらないと思ってね」
「なるほど、あんたらしいや」

所詮は親の糸繰り人形みたいだけれども、なんて言えないし言いたくないけど。

「だからこっちに来たの。麻多にも会えるし」
「俺一応忙しいから会えるかどうかなんてこれっきりかもよ?」

「わかるよ」

やけに芯の通った声で言うものだから見据えてしまった。

「麻多とは、また会える」
だって、優しい麻多だもんと彼女は昔と変わらぬ笑顔で言った。
俺は彼女のそんな所が、好きだ。

「ちゃんと覚えておいてね、あんたに恋人ができても夫ができても子供ができても孫ができても」


君は俺の友人だと、


「さよならは言わずに、また抹茶ラテを飲んでこうやって話し合おうじゃないの」
「誰が忘れるって?アンタより物忘れは激しくないから大丈夫だよ麻多」

そんな彼女の姿を見て、凛として咲く花のようだと思った。


そして俺らは時間が来るまで抹茶ラテを飲んで、笑って語らって。


また近い未来で、と手を振り合った。



一応夜月にも前の学校の友人はいたのよという補足。
彼女と夜月の間に何があったのかはちょいと書けそうにないかも。
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