× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 縁日などで出る出店のものは何故か美味しく見えてしまうのがいいものだ。 特に、ふらりと立ち寄った日になんかは小腹やらも空いているから余計に。 ふと立ち止まれば透明なガラス瓶にたくさん詰められた飴玉が目に入る。 確か名前があったはずなのに思い出せ出せなくて、ビー玉、と呼んでしまう。 実家にまた暫く帰ってきた妹は、透明のガラス瓶いっぱいに入った飴を持って縁側に寝転がりこのビー玉のような飴を1つ摘まんで陽に透かして食べるのが好みなのだ、と言っていた気がする。 それの中身がビー玉ではなく、たまに様々な色をした金太郎飴になる時は少し不機嫌気味だが。 「これ、ください。」 言われた金額の通り、小銭を渡すと丁寧に紙袋に入れてくれた。 「気をつけて持ち帰りなよ。昔、瓶を落として割って大泣きした女の子がいたからねえ。」 「…これでも、男ですけどね。」 「おやそうかい。美人だったからてっきり…」 「ありがとうございます。」 そう会話をし、別れを告げてその出店を後にする。 「本当、嫌味ったらしいったらありゃしない」 その大泣きした女の子、昔あの子がやったことだよ。 割れた瓶を、俺はジッと見つめて薄ら笑みを浮かべていた。 あの子は大泣きして、飴が、飴が、と泣き続け、 店員は中からやってきて箒とちりとりで素早く片付けた。 それを遠くから見て、まるで人事かのようにくだらないと呟いていた。 「本当、くだらないや」 食べ終わった後の空き瓶はきっと叩きつけられるだけ。 PR この記事にコメントする
|