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いつもの柔道場。柔道着をスポーツバッグの中に詰め込んで勢いよく外に出る。 火照った体に丁度良い肌寒い空気が頬をかすめる。 もう秋ですよ、と風が言った様に聞こえた。 そうなれば、そろそろ姉様方が南瓜嫌いと全力で嫌な顔して拒否をし、妹君は全力で拒否して泣き叫ぶのだろう。 日本では馴染みがないハローウィンの季節。 別に宗教上とかそういうのじゃないけど、なんとなくそんな場景を思い出して笑った。 確かに俺も南瓜は好きではないが、全力で拒否するほどじゃない。 何故にそんなに嫌いなのだろう、とふと上を見上げた。 空は明るいのに、珍しく星が無かった。 そこには朧げな月が水中に沈み、下から見たようになっていた。 珍しい、朧月だった。 そもそも月なんてそんなに見ないし、見かけるのは星だけだったから不思議に思えただけ。 ふと思ってズボンのポケットから携帯電話を出して写真を撮ろうとすれば、上手く写ってはくれなかった。 諦めて携帯電話をポケットに戻す。 せっかくの朧月だったから、妹君に嫌がらせに見せてやろうと思ったのに。 今の彼女にそんな面影はなく、ただの蒼薔薇の蕾でしかない。 それでも蒼薔薇もまた、同じ様なもの。 蒼薔薇の花言葉は「神の祝福・奇跡」 それを彼女は知っているのだろうか。否、知っているだろう。 自ら望んで成ったのだから。知らなければ朧月に戻るだけ。 今は綺麗に咲き誇っているというのに、朧月に戻るなんて許さない。 そんなの、14の14である俺が許さない。 お前の幸せを、見つけたのに手放すなんて、馬鹿な子。 そうなったら笑顔で絶望を与えるだけ。 ね、依代。 PR この記事にコメントする
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